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こんばんは!
フットワークの軽い、スポーツ大好き宇都宮の税理士 永井です。
今日は、自社株対策として金庫株の有用性についてザックリと。
金庫株を活用した事業承継・相続対策
金庫株とは
金庫株とは自己株式のことです。
自社が発行する株式を、現株主から自社が買い取る場合に持つことになります。
取得目的、時期、回数に制限がなく、取得し保有し続けることができるため、「金庫株」と言われています。
事業承継や相続対策として、金庫株を買い取る方法があるのですが、そのメリットは、次の通りになります。
①後継者が相続により取得した自社株式を、会社が買い取ることにより、後継者の相続税の納税資金に充てられる。
②後継者以外に分散された株式を、会社が買い取ることで、後継社に経営権を集中させることができる。
そこで、事業承継対策の一環で、会社が金庫株を買い取る場合には、剰余金の分配可能額(金庫株もこれにあたります)を満たしているか?
買い取るための現金があるか?などを検討しなければなりません。
これが金庫株を買い取るときには注意点となります。
買い取るときの流れ
1:剰余金の分配可能額を満たすか否かをチェックします。
剰余金の分配可能額とは、累積されてきた税引後利益の合計となりますが、この範囲でしか金庫株の買い取りはできません。
つまり、金庫株の買取りは、剰余金の分配可能額の範囲でしかできないということになります。
金庫株の買取りは、資本の払い戻しと同じで、配当と同じ扱いになります。
剰余金の分配可能額とは、簡単に言いますと、貸借対照表の純資産の部から、資本金と各準備金を除いた金額のことを言います。
(これまで累積されてきた税引後利益の合計額と考えるとわかりやすいかなと思います。)
赤字の期間が少し続いて、純資産の部の金額が資本金を割り込んいるような会社は、金庫株の買取りができないということになります。
2:剰余金の分配可能額の要件がクリアできた場合に実際に金庫株を買い取るときの現金を確保します。
また、剰余金の分配可能額の枠はあっても、実際の買取り資金が無いというケースの方が、実は多いかもしれません。
そこで、剰余金の分配可能額と、金庫株の買取り資金の2つを満たす方法として、生命保険の活用があります。
すなわち、株主がお亡くなりになった場合に、生命保険金を原資として相続人から金庫株として買取る方法です。
まずは、例えば次のような生命保険に法人が加入したとします。
契約者 :法人
被保険者 :自社株買取り対象者 または 役員
保険金受取人:法人
仮に、受取保険金1億円、支払保険料の1/2を損金にできる保険に加入していた場合。
お亡くなりになった場合には、当然1億円の現金が法人に入金されますので、金庫株が5,000万円の場合には買取り資金も確保できたことになります。
(生命保険を活用する方法以外には、金融機関で融資受けるなどが方法としては考えられるのかなと。)
方法によっては会社のキャッシュフローの状況に悪い影響が出てしまう恐れがあるため、環境を調整しつつ、適切なタイミングでの買い取りを目指す必要があります。
なぜ事業承継の対策になるのか
そもそも、なぜ金庫株を買い取ることがなぜ事業承継対策になるのでしょうか。
それは経営者が亡くなった時に、株式が分散する可能性があるからです。
金庫株を適切に処理しないまま経営者が亡くなったケースを考えてみましょう。
すると株式は相続の対象となり、相続人へ分散することになります。
複数の法定相続人がいて株式が分散され・引き継いだ場合、経営権を集中できなくなるという問題が生じる可能性があります。
後継者に経営権を集中できなくなると、会社の重要な意思決定を独断で行うことがむずかしくなります。
結果として、ビジネスのチャンスを逃すなどの弊害もあるのではないかなと。
そんな事業承継の株式分散を解決する方法として、金庫株を活用することができます。
金庫株を活用すると、自社株を後継者に集中させることができ、円滑な事業承継が期待できるのではないかなぁと。
ただし、金庫株の活用方法を知り、それを今すぐ実践したいと思っても、常に金庫株の買取ができると言うわけではありません。
財務内容によっては、それが不可能なケースもありますので、金庫株の活用を考える方は長期的な計画を練っておく必要があります。
株を売却する側から考えてみる
金庫株を売却する株主からすると、相続後に、会社に株式を買取ってもらう方が、税務的にはメリットがあります。
通常、金庫株の売却は、総合課税(みなし配当)となり、所得によっては税額が相当高くなります。
ただし、相続により取得した自社株の売却に関しては、譲渡所得課税になり、一律20%の税率となります。
また、相続税の申告期限から3年以内に譲渡をすれば、譲渡所得の計算上、相続税の取得費加算が使えます。
(支払った相続税の一部が、譲渡益から引けるということ)
なお、相続株式の自社売却については所得税課税の特例があります。
非上場企業の場合、相続税申告期限より3年以内に会社へ相続株式を売却すれば、譲渡益全体への譲渡益課税の適用となります。
譲渡益課税は20%ですが、これは上限55%の累進課税(みなし配当課税)よりも優遇されており、この点もメリットと言えます。
会社の財務内容により、金庫株の買取りができないということがないよう、長期的なプランを考えていた方が良いかと思われます。
一日一新
とある賛助会員の申し込み
お金の図鑑
アピタのロッテリア
編集後記
今日は午前中にお客様の月次処理とセミナーのスライド作成
午後はとある勉強などなど
とあるセミナーが本格始動の様子です。
このままコロナが下火になってもらえるとありがたい。
そして今日までが個人の確定申告の申告期限となります。
納税者の皆様!お疲れ様でした!